2011年4月5日火曜日

雑誌の表紙にみる震災後の表現格差

未曾有の大惨事となった東北沖地震から3週間が経った。

被災地のみならず放射能汚染や計画停電などで私たちの生活も3.11を境にまだまだ予断を許さない。




雑誌の広告の仕事をしている身として、日常くだらないことばかり綴ってないで、たまには
業界の現状を私なりに考察してみたい。




【プロローグ】


雑誌を生業のひとつとする出版業界も甚大な被害を受けた。その実情はかなり深刻だ。

震災直後、最初に問題になったのは「流通」。配本の滞りだ。


作った雑誌が書店にならばない。読者に届かないのだ。

アマゾンジャパンも東北地方の配送をストップせざるをえなかった。



加えて輸送燃料(ガソリン)の不足や、道路状況の悪化で発売日の延期などは必至となる。




続いて、問題になったのは「紙とインク」。 特に「紙」だ。

雑誌の主原料は「紙」である。(当たり前だが)




出版業界の印刷用紙の約4割を供給していた宮城県の日本製紙石巻工場と青森県の三菱製紙八戸工場が
被災したからだ。 山積みされた大量のロール紙が津波で全損する光景はまだ脳裏に焼き付いている。


このため、各誌は紙の確保に奔放した。業者を変更せざるを得ないのだ。


雑誌が作れなければ当然広告だって打てない。




上質コート紙でクオリティーを重視する女性誌では大手でさえ紙質を落とせざるをえない状況に陥り、一時的ではあるが外資系クライアントは広告をストップしていて国外退避しているところがあるのが現状。



日本雑誌協会によれば計191誌の雑誌が発行休止、延期を余儀なくされた。

不況の波に追い打ちをかけるように突然訪れてしまった雑誌業界への想定外の試練ではあるが、今こそ正念場かもしれない。








【本編】


さて、前置きはこのくらいにして、

今回は震災後の各社雑誌の「表紙」に着目してみようと思います。


「表紙」は雑誌の顔です。



こういう時こそ、雑誌のもつ本質(品格)があらわになるようです。


顔に出る雑誌、出ない雑誌、いい顔する雑誌、けんかを売る雑誌・・・・十人十色です。

賛否両論あるので各誌に対するコメントはあえてしません。




まずは日本国内の週刊誌から。

評価を下げた雑誌、上げた雑誌の代表格から。

一番話題になった対照的なこの2誌から。

AERA vs. 週刊アスキー




続いて、もっとも支持を受けた週刊誌がこの週刊ポスト。




週刊現代



週刊文春



週刊新潮



週刊東洋経済



週刊朝日


週刊ダイヤモンド



不安を煽る表紙と、対照に応援メッセージ的な表紙に二分。

原発に関しては過熱報道の陰で真相は明かされぬまま月日は経過している。




以上が、日本の代表的な週刊誌の震災直後の表紙です。





では、海外からはどのように映ったのでしょうか。。。



日本国内よりもより放射能を意識した表紙が多いことがわかります。

私は3月21日号のCBNweekly(中国版)の北斎の表紙が印象に残ってます。
2011年3月21日号のCBNweekly(中国版)



逆に、パッと見オシャレにデザインしているTHE NEW YORKERの表紙はシャレがきつすぎました。



ではさっそく、その「お友だち作戦」で支援してくれてるアメリカから見ていきましょう。







続いて、中国。




















韓国。








ロシア。







UK








イタリア






フランス













ドイツ








カナダ





インド





ブラジル







以上です。



【エピローグ】

雑誌は中身よりも表紙が大事・・・・というのが私の持論だ。
(誤解を招くかもしれないが、中身が表紙を裏切らない事が理想です)

文庫などの書籍と違い雑誌は手に取る接触時間が短く作られている。
だからこそ、エモーショナルでシンプルな【表紙】が決め手となる。(と思ってる)

出版社の生い立ちや懐事情、はたまた編集方針など事情は様々だが、
被災者や被災地や国民の心情を逆なでするギャグや不安を煽るエゴイズムは言語道断だ。

私の結論はこうです。


『空気を読めない雑誌を読む気にすらなれない。』


今回の震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。また、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

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